2025年5月、国立マイセン磁器製作所のアート部門責任者、リアーネ・ヴェルナー氏が来日された折に、北九州市・小倉井筒屋で開催された「大マイセン展」の会場で「トークイベント」を行いました。その機会にヴェルナー氏にインタビューも行い、最近の限定作品や新作のテーマなどお話を聞くことができました。逸品と呼ばれる古典的作品や世界限定作品、人形、プラーク、新規開発など、アート部門全体を統括しているヴェルナー氏のインタビューをご覧ください。
▲リアーネ・ヴェルナー氏
リアーネ・ヴェルナー氏 プロフィール
Liane Werner
1984年~1987年 ベルリンの大学で経済学を学ぶ
1987年 国立マイセン磁器製作所に入り、営業部所属となる
2000年 営業部長に就任
2013年~ アート部門、人形製作部門の統括責任者として逸品と呼ばれる古典的作品、限定作品、アート作品の開発に携わる
1. ロシアによるウクライナ侵攻による影響の大きい「ガスの供給の問題」は解決していますか。
リアーネ・ヴェルナー氏(以下L.W.):ガスなど、エネルギー価格の高騰はいまだに大きな問題です。またドイツの規制で得意先の一つでもあるロシアに輸出できないことも問題となっています。そしてマイセンにとっては、日本をはじめとするアジアからの旅行者の極端な減少が痛手です。
2.最近の限定作品や新作のテーマをおしえてください。
L.W.:近年は、環境保護の観点から、絶滅危惧種の動植物などをよくテーマにしています。
プラーク「アマゾン」シリーズから
上左「スミレコンゴウインコ」9M010/936B74、
上右「オオハシ」9M010/936E74
下左「コンゴウインコ」9M010/936C74、
下右プラーク「ハチドリ」9M010/936D74
サイズ:各約30×30cm
「アマゾン」をテーマにした4枚のプラーク。それぞれに個性的な熱帯雨林の鳥を描いています。
彫像「マンタ」78060/937024
高さ:約28.5cm
若手の実力派アーティスト、マキシミリアン・ハークシュトッツが創作。大海原をゆうゆうと泳ぐマンタの肌合いまで表現されています。
3. 新作コレクションのプロモーションにあたり、イタリア人男性の双子のタレント、Two Twins, ” Fabrizio and Valerio”さん(ツー・ツインズ "ファブリツィオ アンド ヴァレリオ”)たちを起用されていますが、そのねらいをおしえてください。
▲Fabrizio and Valerio
L.W.:彼らは有名なモデルではありません。モデルというと美しい女性のイメージがあると思いますが、「えっ、何これ!」という反応を期待しての起用でした。
4. 新作の開発についておたずねいたします。前回(2023年)のインタビューでは「市場」が重要であり特に「若返り」を心がけていると伺いました。今年の新作にはブルーオニオンの初期の文様があったり、アジア的な文様が見られますが、今回の新作のテーマなどについておしえてください。
▲オリジナル(ホワイト) 柄番号:79B500
中国の磁器を手本に生まれたオニオン文様。この柄は誕生当初1733~1735年頃に描かれていた文様をデザインしたもので、現代のブルーオニオンよりも、より東洋的な印象です。
L.W.:ブルーオニオンもそうですが、ドラゴンなど東洋的なモチーフはドイツでとても人気があります。そういう人気のあるモチーフを手描きではなく、おさえた価格で提供できるプリントで表現・制作することで、若い世代への訴求を図りました。
5.お休みの日はどのように過ごされていますか。
L.W.:自然が大好きなので、休みの日には少なくとも2時間はウォーキングをします。また美術展やいろいろな展覧会に行くのも好きです。
6.新型コロナウイルス感染も終息し、海外旅行をする日本人たちが増えてきました。
これからマイセンを訪れる人たちへのメッセージをお願いいたします。
L.W.:ぜひマイセンにお越しください。一度いらした方も、もう一度! マイセンではいつも何か新しい発見があると思います。
美術館では定期的に展示替えや特別展をしていますし、マイセンの「今」が感じられるビジターセンターを楽しんでください。
前回2023年に行ったインタビューはこちらからご覧いただけます。
https://www.meissen-jp.com/news/archives/2023/lianewerner.html