MEISSENメモ(120):マイセンの絵付についてのご紹介
マイセンの絵付についてご紹介いたします。
マイセン磁器は絵柄によって、絵付の技法や機成のタイミングが異なります。
金彩を施す場合はさらに工程が増えます。絵付の顔料は焼成によって発色が変わる色もありますので、絵付師たちはその変化を知り尽くしています。
顔料はマイセン磁器が誕生した18世紀からマイセンの工房内実験室で作られており、その顔料を多様に組み合わせ約1万色のヴァリエーションを駆使して様々なモチーフが描かれています。
「ピンクのバラ」の絵付
上絵付では磁器に何も描かれていない状態で施し、本焼成後、絵付を施します。このピンクのバラの場合は、焼成前には茶色の顔料で絵付をしていますが、焼成によって美しいピンク色に変化します。
「インドの花」の絵付
磁器用の鉛筆で下絵を描いてから上絵付を施します。ガラス質の釉薬で覆われているため、上絵付は修正可能です。このピンク色のインドの花も、ピンクのバラと同様に焼成前に濃淡2色の茶色で描かれますが、焼成後には鮮やかなピンク色へ変化します。
「ブルーオニオン」の絵付
この文様の場合は素焼きされた後すぐに下絵付で描かれます。施釉前の吸水性の高い地肌に描かれるため、一度描いたら修正がききません。ブルーオニオンの色は焼成前くすんだ灰色をしていますが、釉薬をかけて本焼成すると、輝くようなコバルトブルーの色合いが生まれます。
金彩を施す絵付
金彩(マイセン製作所では上絵付に24金を使用)が用いられているカップ&ソーサーの場合は、素焼き、施釉、本焼成の後、上絵付と金彩が施されます。
(1)仕上がりが光沢のある金にしたい箇所に釉薬を施します。
(2)マットな金にしたい箇所をラッカーで覆います。
(3)白い箇所は本来のレリーフです。黄土色の箇所は「光沢金」が塗られた状態で、仕上げの焼成を行うと、マットまたは光沢を帯びた金へと変化します。
(4)仕上げの焼成後にマットや光沢金の効果が現れます。
金彩を施したカップ&ソーサー「宮廷の小花(ブルー)」の場合
(1)磁士の生地で形を制作し約900°Cで素焼きをする。
(2)ラッカーでカバーし、施釉し約1,400°Cで本焼成を行います。
(3)ブルーの地色を塗り、焼成を行います。
(4)散らし小花を絵付し、上絵付の仕上げの焼成をします。
(5)最後に光沢金を装飾し、金彩の仕上げの焼成を行います。焼成前の黄土色の金の箇所は焼成後には光沢金へと変わります。