マイセンの現在、そして未来を担う若きアーティストの一人として活躍しているマクシミリアン・ハークシュトッツ氏。特に躍動感あふれる動物彫像を得意とし、彼の創作した世界限定作品やユニカート(一点物)、逸品作品は話題をよび、世界中のマイセンファン垂涎の的となっています。今回発表された大作、彫像「マンタの地球儀」は環境保護のメッセージが込められた逸品です。今年の6月に初来日を予定しているハークシュトッツ氏に日本のファンに向けてのメッセージ動画をいただくとともに、創作に関する苦労や作品の見所などについてインタビューを行いました。ぜひご覧ください。

▲マクシミリアン・ハークシュトッツ氏

マクシミリアン・ハークシュトッツ氏 プロフィール

Maximilian Hagstotz

1992年生まれ。新進気鋭の造形のホープとして活躍しています。2007年、15歳で本格的に絵画を学び始め、2009年にマイセン磁器製作所付属の養成学校に入り磁器絵付と造形を学びました。卒業後、造形部門の責任者であるヨルク・ダニエルチュクの高弟として研鑽を積み、ダニエルチュク引退後は同部門を牽引するアーティストとしてユニカートの創作やさまざまな彫像のデザインに取り組んでいます。彼の動物彫像には動物の姿だけでなく、その魂までも写し取るというマイセン300年の伝統が息づいています。

MOVIE
マクシミリアン・ハークシュトッツ氏から日本のマイセンファンの皆さまへ

1.10代の頃から絵画を学んでいらっしゃいますが、絵を描くことに興味を持たれたきっかけは何ですか。またマイセン磁器製作所で働かれていますが、マイセンやこの仕事を目指した理由をおしえてください。

マクシミリアン・ハークシュトッツ氏(以下M.H.):幼い頃から私にとって何より夢中になれたのが絵を描くことでした。16歳で学校を卒業した後、将来は何かクリエイティブな仕事につきたいと思っていました。マイセン磁器製作所の養成学校は、まさに私の理想の環境そのものでした。技術や芸術だけでなく、磁器のフォームやディティール、伝統について徹底的に学ぶことができる場でした。 特にマイセン磁器製作所の歴史的な面に魅了されました―昔のフォームや装飾、精細なディティール。これらの美意識に心を惹かれ、それは今も私の仕事に影響を与えています。

2. マイセンの伝統をふまえながらも、動物の特徴を独創的に、魅力的に表現されていますが、そのアイディアはどのようにして湧くのでしょうか。またアイディアを実際の創作に移す際には、どんなことを大切にしていますか。

M.H.:私のアイディアは多くの場合、人との会話や自分自身の体験から生まれています。同時に、マイセン磁器製作所の歴史からも強くインスピレーションを受けていますし、海外のアーティストたちの作品からも影響を受けています。私は片方の目で作品の過去を見つめ、もう片方の目で未来を見るように心掛けています。マイセンの伝統は、私にとって重要な礎となっています。特に重要なことは彫像の構成で、一目見ただけで「マイセンの彫像」とわかる造形には原則があります。私はこれまでのマイセンの作品のテーマや磁器の素材の特別さにも魅了されています―磁器は、それほど高い可能性を持った素材と考えているからです。

▲彫像「マンタの地球儀」 逸品作品
品番:78M40/900180、サイズ:約40×40cm
ハークシュトッツによる環境保護のメッセージが込められた作品。

5匹のマンタがサンゴ礁に絡みつき調和の取れた球体を形作り、地球の脆弱さと生命の力強さを象徴しています。胸びれの間から覗く水中世界には、海洋の隠れた美しさが広がっています。 細部に至るまで精密に制作され、すべての工程においても高度な技術が求められる逸品です。

※こちらから彫像「マンタの地球儀」の制作の様子がわかる貴重な動画をご覧いただけます。
■アーティスト、マクシミリアン・ハークシュトッツ考案 彫像「マンタの地球儀」の制作風景
3. 今回の新作、彫像「マンタの地球儀」についてお聞かせください。ユニークで芸術的な作品ですが、このアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか。環境保護のメッセージが込められていると伺っていますが、その思いをどのように表現していますか。

M.H.:彫像「マンタの地球」のアイディアは、「地球をより良い場所にする」というテーマから生まれました-芸術が環境保護や私たちの生活環境への敬意ある取り組みに、どのように注意を向けることができるかという問いかけです。数年前、「花を保護する」というテーマで少しユニークな作品を制作しました。そのときに来場者が作品の前に長い間立ち止まり、じっくり観察しているのを見ました。人は好奇心を持って何か発見したいと思うのではと感じました。彫像「マンタの地球儀」の5匹の大きなマンタは、地球の5大陸を象徴しています。マンタは互いに調和して動き、共通の生活環境を守っています。ゴミや廃棄物は残しません。同時に大きなマンタは小さなマンタも気にかけ、小さな生き物の世話もします。それは責任感や注意深さを意味し、地球上での尊重ある共同生活を表わしています。

4. 彫像「マンタの地球儀」はとても複雑で芸術的な作ですが、完成に向けてどのような点が難しかったでしょうか。

M.H.:このような彫像ではすべての工程が難しいものとなります。多くのパーツは最終的に組み立てる前に手で成形しなければいけません。後からでは手が届かなくなる場所があるからです。マンタの各パーツは比較的大きくて重いですし、組み立ての際には接着部分を非常に正確に仕上げることが重要です。また各パーツを接着する際にも多くの時間と集中力が必要となります。

5. 今後創作してみたい動物や鳥はありますか。また挑戦してみたい造形はありますか。

M.H.:私が将来創作してみたい動物はまだ秘密ですが、すでにいくつか面白いアイディアがあり、その制作に取り組んでいるということはお伝えできます。

6. 休日はどのように過ごされていますか。どんなことをするのが好きですか。

M.H.:週末は静かな時間を楽しんでいます。友たちと散歩に出かけたり、家族を訪ねたり、ピアノを弾いたり、絵を描いたりしています。これは昔からずっと好きな過ごし方です。

7.来日は初めてと伺っておりますが、日本にはどんなイメージをお持ちですか。行ってみたい所や興味のあることはありますか。

M.H.:私は日本に行ったことがないので、今回の訪問をとても楽しみにしています。ただ好奇心を持って体験できるよう、固定概念を持たず訪問したいと心がけています。 東京は非常に清潔で整った街で、人々がとても親切だと聞いています。私は特に芸術を見ることができる場所に興味があります。六本木ヒルズにある森美術館はぜひ訪れてみたいです。そして、初めて日本を訪れる人が知ることができない特別な場所をいくつか見つけること出来たらいいなとも思っています。