2016年5月、マイセン磁器製作所の絵付師、アンドレアス・ヘルテン氏が、そごう横浜店で開催された「マイセン展」での絵付実演ために来日しました。 今回の「マイセン展」では、ヘルテン氏が描いた日本オリジナル限定作品が展示され、実演会では卓越した技術の花絵付を披露しました。マイセンのトップアーティストとして活躍する、ヘルテン氏のインタビューをご覧ください。


▲実演中のアンドレアス・ヘルテン氏

アンドレアス・ヘルテン氏 プロフィール
Andreas Herten

1967年  ヴィスマールに生まれる
1984年~国立マイセン磁器製作所養成学校で学ぶ
1988年  花絵付での卒業試験に優秀な成績で合格
1988年  花絵付部門で活躍を始める
1989年~ハインツ・ヴェルナー教授のもとで「芸術の発展をめざすグループ」の活動に参加
1989年 ハイリゲンダムの応用美術大学で学ぶ
*マイセンの新しいサーヴィスフォーム「波の戯れ」に「ユーゲント」や「青い花」などの魅力的な絵付を発表。伝統を継承しながらも、その優れた現代的感覚で芸術性溢れる創作活動を行っています。

▲手元の拡大
▼マイセン展の会場でヘルテン氏の作品とともに記念撮影


- いちばん好きな絵柄は何ですか?またそれはなぜですか?

アンドレアス・ヘルテン氏(以下A.H.):いちばん好きなのは、花絵付です。多面的な描き方が可能なので、私はグラフィックの要素を取り入れて、それを絵画的な描き方と組み合わせて描いています。

- なぜ花絵付が好きかですか?

A.H.:なんといっても、花は私たちの生活に美と喜びをもたらしてくれるでしょう?(笑)

- アンドレアス・ヘルテン氏が描いた日本オリジナル限定作品-

▲花瓶「鳥と貼花のある装飾花瓶」

▲花瓶「繊細な金彩花瓶」

- 一番印象に残っている作品や楽しかった作品、また難しかった作品は何ですか?

A.H.:いちばん印象に残っているのは、今回、日本オリジナル限定作品として描いた「バラの静物画」(プラーク)ですね。この絵は、ソフィー・アンデルセンという昔の画家の絵画をもとに、そこに新たな解釈を加えて描いたものです。とてもやりがいのある仕事でした。いちばん難しかったのは、これも今回のマイセン展に世界限定作品として展示された、ミュンヒ・ケーの花瓶「海の生き物」です。(注:アール・デコ期の偉大なアーティストとして知られるミュ ンヒ・ケーが1954年に本作品の原型を制作しました。そのケーに捧げるオマージュとして、ヘルテン氏が今回この復刻作品を手がけました。)フォームはありましたが、どんな絵付がされていたのかは資料が残っていなかったので、何もないところから始めなければなりませんでした。ミュンヒ・ケーにふさわしい、このフォームに合う絵付を探すこと……。その解釈はうまくいったと思います。

▲ヘルテン氏の作品。プラーク「バラの静物画」

- 今後、挑戦をしてみたいことはありますか?

A.H.:私が今まで試みてきた、グラフィック的な要素と絵画的な手法を組み合わせて描く絵付、この多様性をこれからも追求していきたいです。


- マイセンで抱いていた日本や日本の磁器のイメージと、実際来日してからの日本の印象はどうですか?

A.H.:日本の印象は、それまで私が思い描いていたとおりでした。いえ、それ以上でしたね。とても心のこもった、親切な、もてなしの心をもった人たち、とても気持ちよく一緒に仕事ができる人たち、そして、歴史と文化をもったすばらしい国、それが日本だと思います。


- 日本のファン・ユーザーに何かメッセージをお願いします。

A.H.:あなたが手に入れたマイセン磁器を日々の生活の中で愛おしみ、その生活を楽しんでください。そして、その小さな芸術作品は、たくさんの人の手によって心をこめて作られたのだということを、ときどき思い出してください。


- アンドレアス・ヘルテン氏が描いた日本オリジナル限定作品-

▲花瓶「バラの貼花付装飾花瓶」

▲蓋付花瓶「魔法の鳥と花」

▲蓋付花瓶「バラ」

▲プラーク「ユリ」

▲プラーク「金の花瓶と花」

▲プラーク「黄色いバラ」