2011年8月末に、ドイツからマイセン磁器製作所の絵付師(磁器の絵付専門職人)マルティーナ・シュヴァルツ氏がマイセン展での実演のために来日し、約1週間にわたって関西エリアの百貨店でマイセンの絵付技術を披露しました。
マイセンの絵付師として活躍する、マルティーナ・シュヴァルツ氏のインタビューをご覧ください。

▲マルティーナ・シュヴァルツ氏

マルティーナ・シュヴァルツ氏 プロフィール


Martina Schwarz
1986年11月5日、チューリンゲン州シュライツ生まれ。
義務教育終了後、17歳で国立マイセン磁器製作所附属養成学校に入学(2003年)、2007年まで教育を受けました。 卒業後、伝統的な花柄の絵付師としてスタートしましたが、半年後には「ポピー」や「矢車菊」など、モダンな花柄も習得し、現在では人物画も手がける逸材です。

- マイセンの絵柄のなかで、一番好きな絵柄は何ですか?

マルティーナ・シュヴァルツ氏(以下M・S) : グリーンの緑色の顔料を使ったワトー風(※)の絵付です。その他にエジプトを描いたもの、神話をモチーフにした絵柄が好きです。

※ ワトー風の絵付
ワトー[ジャン・アントワーヌ・ワトー](Jean Antoine Watteau)。
1684-1721年。フランスのロココ様式を代表する画家。
マイセンにとっても、「ワトー画」というジャンルを成すほどに重要な存在。
マイセン磁器製作所は1741年にワトーの銅版画を大量購入し、それらは現在も絵付の際の参考にされている。

ワトー風の絵付がされた作品
▲ワトー風の絵付がされた作品
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- 今まで描いた中で、一番印象に残っている作品、楽しかったあるいは難しかった作品は何ですか?

M・S : 今まで描いた全ての作品は、どんな作品でも楽しんで絵付をしましたが、一番印象に残っているのは、銅を使ったグリーンの顔料(※)で狩猟シーンを描いたものです。

※ 銅を使ったグリーンの顔料
マイセン磁器の絵付に使用される絵具(顔料)は、全てマイセン磁器製作所オリジナル。銅が原料となった緑(グリーン)色の顔料は絵付が難しく、高度な技術が必要と言われている。

実演中のシュバルツ氏
▲実演中のシュバルツ氏
- 今後、挑戦をしてみたいことはありますか?

M・S : マイセンの絵付師として、絵付を続けていきたいです。
将来もいろいろな種類の絵付の注文をいただき、その時、自分の実力が十分に出せればと思います。また将来結婚もしたいと思っていますが、結婚してもマイセンの絵付師として働き続けたいです。

- マイセンで抱いていた日本や日本の磁器のイメージと、実際に来日しての印象について
   違いなどありますか?

M・S : 養成学校(国立マイセン磁器製作所附属養成学校)でも、日本の陶磁器について勉強をしたので、日本の器のことは良く知っています。今回の日本への訪問で、どんな器に出会えるのかと、とても楽しみにしていました。
実際に来日してみて、本当にいろいろな種類の器があると知り驚きました。実は既に、お土産用に何点か購入もしました。

- どんな種類の器を買ったかお聞きしても良いですか?

無地ではなく、色付きの様式化された絵付の器です。

- 日本のファンにメッセージをお願いします。

M・S : 今回のマイセン展で、マイセンがいかにたくさんの種類の作品を作っているかを発見してください。
ご覧いただいたマイセンの磁器が皆様のお気に召すものでしたら、うれしく思います。そして購入をしていただいた時には、ぜひ楽しんでお使いくださいね。その器にマイセンのアーティストと職人たちの仕事がどれほど込められているかも感じとってください。